研究を推進する

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乳がん医療の発展、
そして、乳がんのない世界の実現のために。
あなたも、臨床研究を推進するサポーターに
なりませんか。

臨床研究は、ご参加いただく患者さんのほか、各医療機関の関係者・専門家のご協力、そしてJBCRGの活動にご賛同いただいた皆様からの資金面でのご協力など、多くの方のご支援に支えられています。JBCRGの活動、そして臨床研究をサポートしてくださる人々の声をご紹介します。

支援者

スー フォックス社長 × 大野真司代表理事 対談

写真中央 : スー フォックス (ELCジャパン株式会社 代表取締役社長)

左 : 大野 真司 (一般社団法人JBCRG 代表理事)

右 : 清水 千佳子 (一般社団法人JBCRG 理事)

清水 千佳子 理事(以下 清水):

ELCジャパンのピンクリボン活動と研究支援活動についてお聞かせください。

スー フォックス社長(以下 フォックス):

エスティ・ローダー・カンパニーズ(米国本社)のピンクリボン・キャンペーンには四半世紀以上の歴史があり、「ピンクリボンキャンペーン」は乳がん啓発の象徴となっています。ピンクリボンキャンペーンによってBreast Cancer Research Foundation(BCRF)に集められた研究資金は世界で7千600万ドルに上り、70か国215の研究活動を支援しています。国内ではJBCRGに対して、今までに2千200万円の寄付をさせていただきました。

大野 真司 代表理事(以下 大野):

御社からのご支援に心から感謝しています。ELCジャパンからのご支援のおかげで、JBCRGではPOSITIVE試験をはじめとした臨床試験を実施することができています。
POSITIVE試験は、乳がんになった後、子どもを持つことを希望する若い乳がんの患者さんが、ホルモン療法を中断して妊娠や出産に挑戦することが安全かどうかを確かめる研究ですが、国内でも患者さんからの関心が非常に高い研究です。
最近、実際に、この研究にご参加の乳がんの日本人の患者さんたちに赤ちゃんが産まれたとの報告が届いています。一方で、思うようにいっていないケースもありますが、ホルモン療法の中断が乳がんの予後に影響を与えていないか、どんな条件があると妊娠・出産に結びつきやすいのか、乳がんの治療のために母親となることをあきらめているかもしれない日本の若い患者さん(国内では40歳未満で発症する方が年間約8000人程度いらっしゃいますが、そのうちホルモン陽性のひとは約6000人いらっしゃいます)に、母親となる選択をより積極的に提案できるよう、この研究を通じて明らかにできるのではないかと期待しています。このような患者さんにとって非常に重要な研究に日本から貢献することができているのは、ELCジャパンからの支援のおかげです。

清水 :

JBCRGに期待することを教えてください。

フォックス :

JBCRGの研究活動はすでに素晴らしいものですが、日本において乳がんの早期発見、予後の改善、そしてよりよいケアにつながるような研究をさらに進めていただきたいと思います。
乳がんは女性だけでなく、男性の問題でもあります。女性の1%ですが、男性でも乳がんにかかるかたがいらっしゃいます。かつてピンクリボンキャンペーンで、ピンクのリボンの中に小さくサファイアブルーのストーンをあしらい、男性の乳がんを啓発したこともあります。また、患者さん本人だけでなく、助けを必要としているご家族への支援が不足していると感じています。
2019年のELCジャパンの乳がん啓発キャンペーンの標語は、“Hope for a Cure unites us all”に決まりました。患者・家族、医療従事者、研究者、支援する人たちが心を一つにして、乳がんにかかわるあらゆる領域での研究がすすみ、多くの患者さんのよりよい治療とケアにつながることを願っています。

清水 :

最後に、日本の患者さんへのメッセージをお願いします。

フォックス :

私たちは、乳がんを取り巻く世界のごく一端を担っているにしかすぎませんが、誇りをもってこの活動に取り組んでいます。私たちの支援活動が、日本の乳がんの患者さんにもっと役立つよう、医療従事者の方々とも協力しながら、いっそう活動の幅を広げていきたいと感じています。
1年半ほど前、エスティ・ローダー・カンパニーズ(米国本社)は「ピンクリボンキャンペーン」ではなく、「乳がんキャンペーン」と名称を変更しました。それは、日本も含め、世界には、人々が「乳がん」という言葉を口に出すことが避ける文化があるからこそ、オープンかつ透明性をもって言葉を発していくことの必要性を感じたからです。「乳がん」という言葉が、人々の日常生活のなかでオープンに使われることで、日本においての「乳がん」の更なる啓発につながることを期待しています。

大野 :

日常会話のなかで乳がんを話題にできるようになることは重要なことですね。日本では臨床研究に対する理解がまだまだ不足しており、乳がんも、研究も、一般の方々からは非常に遠いところにあるのが現状です。
私たちも、臨床研究が一般の方々にとって、もっと身近なものとなるよう、その重要性をわかりやすく伝えていかなくてはなりませんね。今後も、パートナーとして、よろしくお願いいたします。

フォックス :

もちろんです。こちらこそ引き続き継続したご支援をさせていただきたく、よろしくお願いいたします!

清水 :

今日は、貴重なお話をどうもありがとうございました。

(2019年4月)

支援者

若年性乳がんサポートコミュニティ
Pink Ring 代表
御舩美絵 様

 私たちPink Ringは、若年性乳がん患者支援団体として、患者と医療者が協働し、情報提供、コミュニティの提供、研究活動を行っております。当会では年に一度、若年性乳がんに関する正しい情報を提供するシンポジウム「Pink Ring Summit」を開催しており、2016年、2017年にはこのイベントの収益の一部を、JBCRG様のPOSITIVE試験(妊娠を目的にホルモン療法の中断の安全性を評価する試験)に寄付させていただきました。

 私たち若年性乳がん患者は、恋愛・結婚・妊娠・出産・子育て・就労・遺伝など、年齢特有の様々な悩みを抱えていますが、当会が2016年に実施したアンケートでがん診断時の心配事を聞いたところ、最も多かったのは「生存率」(67%)で、次いで「妊娠・出産」(66%)とほぼ同率で並び、若年性乳がん患者において、妊娠・出産についての懸念が強いことが示されています。

 がん治療後に妊娠・出産を希望する女性にとって、5年間のホルモン療法は長く、年齢を重ねることで妊娠の機会を喪失してしまう可能性もあります。当会の体験者同志のおしゃべり会の中でも「ホルモン治療を中断して妊娠を目指したいのですが、再発も不安で悩んでいます」という相談が多くあります。私たちが寄付したPOSITIVE試験は、妊娠を目的にホルモン療法の中断の安全性を評価する試験であり、多くの若年性乳がん患者が一日でも早くその結果が出ることを心から待ち望んでいます。

 海外ではがん患者団体が研究資金を集め、それをもとに臨床試験が行われ、医師と患者が協働して新しい治療やエビデンスが生まれています。私たちも患者支援団体の立場から、乳がん患者の選択肢が増え、その未来が明るくなるよう少しでも共に歩みを進めたいと考え、まだまだ小さな力ではありますが、多くの若年性乳がん患者の希望と願いを乗せて、POSITIVE試験に寄付させていただきました。

 私たちがん患者には、がんになったその先の人生があります。妊娠・出産を希望する患者が、子どもを諦めなくてもすむ未来がくることを心から願っております。そして、乳がんのない世界を望むとともに、たとえ乳がんになったとしても、その先を自分らしくよりよく生きられるための研究が進むことを願っております。

(2018年12月)